いい歯医者と悪い歯医者の見分け方|狛江、成城の歯科 ガクデンタルクリニック
現在、歯周病の認定医、専門医は全国に約600人程しかいません。
日本歯周病学会に所属し、指導医のもとで研修を行い専門試験に合格すると専門医となります当医院では、日本歯周病学会に所属し、専門医とともにスタディーグループを組織し、しっかりとした歯周病治療を行っております。根管治療と同様に歯周病治療をおろそかにしてしまうと、歯の寿命は非常に短くなってしまいます。
まず、歯周病についてご説明します。
歯周病とは、歯が埋まっている顎の骨(歯槽骨)を溶かしてしまう病気です。
原因は歯に付着したバイ菌が出す毒素によって歯の周囲で炎症を引き起こし、その結果、歯の周りの骨を溶かしてしまいます。
草木も周りの土がどんどん無くなってしまえば、倒れたり、抜けてしまいます。
歯周病も同じように、2分の1~3分の2程度の骨が溶かされてしまうと、グラグラと揺れ始め、しまいには抜けてしまうのです。
歯周病の状況によっては、年間1ミリほどの骨が溶かされます、歯の根は歯槽骨に10~18ミリぐらいしか埋まってませんので、早ければ、5年~10年で歯が抜けてしまうのです。
歯周病は、進行していても、自覚症状がほとんどありません。
初期~中等度の患者さんは自分が歯周病になっていることすら気づかないことが、ほとんどです。慢性的な病気ですので、痛みや、腫れなどの、はっきりした自覚症状が少ないため、重度の歯周病に移行して、はじめて歯の揺れ、急性炎症による痛み、腫れなどの自覚症状が現れ気づきます。
歯周病は自覚症状のない慢性期、痛みや腫れなどの症状が出る急性期、が繰り返し起こって、徐々に悪化していきます。
歯周病の臨床的な症状としては
- 歯がグラグラと揺れる、物を噛むと歯が動く。
- 慢性的な口臭がある、指摘された。
- 歯磨きをすると出血する。
- 歯茎が下がり、歯の長さが長くなってきた。
- 歯の輪郭がはっきりとせず、歯の周りにクリーム色状の歯石がある。
- 歯茎が赤く腫れあがっている。
- 忙しかったり、体調が優れないと歯茎が腫れる、痛む。
- 歯の隙間が大きくなってきた。
以上のような症状を自覚した場合はすぐに検査に行きましょう。
次に、歯周病を治す為にはどのような治療を行うのか?についてご説明します。
レントゲンによる歯と骨の状態を確認し、歯周病検査を行います。
レントゲンと歯周病検査で分かることは・・・
何が口腔癌の原因は?
- どの程度骨が溶かされているのか
- どこに歯石が付着しているか
- 歯周ポケットの深さ
- 歯肉の炎症がどこにあるか
- おおよその骨形態
- 歯周治療によって保存できるか、抜歯か
歯肉の炎症があると容易に出血してきますので出血点をチェックしているのです。
1歯につき6点の場所の炎症の有無を確認します。
歯周病の進行は、まず歯と歯肉の境にバイ菌が付着します。その結果として歯肉が炎症を起こし、炎症が起こった歯肉はブヨブヨと赤く腫れ、締まりがなくなり、歯面との間に隙間を作ります。 その結果、深部にバイ菌が侵入し、深部の歯面に付着し、その深部で毒素を出し骨を溶かしていきます。この繰り返しで骨が徐々に無くなっていくのです。
歯の周りに歯石とプラークが付着して歯肉が赤く腫れあがってます。
周りのプラークは細菌の塊ですので、歯肉の炎症を引き起こします。
白っぽい縁上歯石も取り除きましたが、激しく出血をしました。
歯周病治療の成功は炎症をコントロールして、今以上骨が溶けるのを防ぐことです。一度失ってしまった骨は元には戻りません。歯周病治療が一通り終わっても、定期的なメンテナンスを怠ってしまうと、またその骨の位置から溶けはじめます。
たとえば、歯周病によって20%の骨が溶けたとします、歯周病治療を行い、病気が安定して忙しくなり、メンテナンスを怠り、3年後来院したときに、3年間で20%の骨が溶けてしまうと0.8×0.8=0.64 もともとあった骨の約半分になってしまいます。
次に、ブラッシング指導と歯石の除去を行います。
歯周病になってしまった方は、今までのブラッシング方法が適切でなかった為なのでブラッシング方法から変えていただきます。
そして、歯石の除去ですが、歯石には2種類あります。見える場所に付着しているものと歯周ポケット内に入り込んで見えないものです。この見えない場所に入り込んだ歯石が骨を溶かしていく縁下歯石といわれるものでバイ菌と血液などから組成されています。
歯石の除去を行い、患者さんの歯からとれた縁下歯石です。だいたい米粒ぐらいの大きさのものですがこの中にバイ菌が繁殖しています1ミリグラム中に1億の細菌がいるらしいです左の写真が、約1ミリグラムです。
細菌は顕微鏡でなければ見えない大きさですが1億集まれば肉眼でも見ることが出来ます。
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一番最初に生えてくる永久歯は6歳で生えてくる第一大臼歯です。6歳から数十年蓄積されたバイ菌の塊を完全に除去するわけですが、非常に硬くこびりついてますので、時間もかかり、一度に除去するのは大変です。また、上の写真のように根は分岐しており、複雑な形態をしている為、歯の形態や場所によって、全てを取りきれない物も多数存在します。アメリカなどでは、大臼歯の根と根の間の分岐部の骨を溶かす(根分岐部病変)場合は抜歯をしてしまいます。それはバイ菌が入り込み清掃できず、非常に予後が悪いからです。
歯周病によって抜歯した歯です。
真っ黒な、深部まで入り込んだ縁下歯石が根の尖端まで付着しています。
赤い肉は不良肉芽という感染した軟組織です縁下歯石や不良肉芽がある部分の骨は完全に溶けています。
このように、完全に感染を起こしてしまった歯を保存しようとすると、周りの歯や顎の骨を高度になくしてしまいます。
左の写真は抜歯後の写真ですが、根と根の分岐しているところに縁下歯石が付着しているのがわかります。
レントゲン写真および歯周検査にて高度な分岐部病変を確認し、患者さんと相談の結果抜歯しました。
もともと、ブリッジの土台(支台)になっていた歯です何度も腫れを繰り返していました。歯周病治療を行うように数年前に説明しましたが、しばらく来院されていませんでした、結果、ポンティックと言われる、ダミーの歯を切断して抜歯してみると、根の尖端から3ミリのところまで歯石が入り込み、高度に顎の骨を溶かしていました。
茶色っぽいものが、歯石の塊です。
高度の歯周病の患者さんの抜歯を行ってみると歯の根全体に茶色い縁下歯石がこびり付いていますその尖端にブヨブヨとしたものが一緒についているのが、分かると思います。
バイ菌が出す毒素によって、骨が溶かされ不良肉芽という軟組織になっているものが一緒に取れてきました。
こちらは、高度の歯周病の患者さんの歯を抜歯したものです。根の尖端2ミリのところまでビッシリと茶色い、縁下歯石が付着していますこれでは、歯の保存は出来ません。
このようになる前にきちんと歯石の除去をしなければなりません。
なぜ自己傷つけるん
全部の歯の歯石の除去が終わった時点で、歯周検査を行い、今後どのように治療を進めていくかの判断をします。歯周ポケットが深く存在していて炎症が残っている場合は、外科的な治療を行っていきます。これをフラップオペレーション(FOP)といいます。これにより、プラークや細菌の溜まるスペースを除去していきます。比較的安定している場合はメンテナンスを行いながら、検査、歯石の可及的な除去を繰り返していきます。
FOPのメリットは麻酔下で、歯茎を切り、骨と歯の状態を確認しながら明視野のもと歯石、不良肉芽の除去、骨形態の修正が可能です。
デメリットは外科的な治療ですので、切開をしなければいけないこと、術後の痛みが出ることがありえます。
ここで、歯周病治療を健康保険で治療する時の限界について説明します。
保険治療は治療方法、回数などが決まっている為その範囲内の治療しか出来ませんレントゲンを撮影できるのは1回、検査を行い、スケーリングを上下で分け、
1ヵ月後に検査をして、縁下歯石があれば、その除去(SRP)を上下の左右奥歯と上下前歯の6ブロックに分けて縁下歯石を除去し、検査を行い、状況が改善していなければ外科に移るという決まりがあります。これを超えては治療を行えません。
状況にもよりますが、この回数で中等度~重度の歯周病の人に、全ての歯石を除去するのは不可能です。
歯石の除去が比較的容易に行える人とそうでない人がいます。
容易な人は、
- 大きく口が開く
- 舌の不随意運動がない
- 歯肉が繊維性で無い(タバコを吸う人は繊維性の人が多い。)
- 歯石が柔らかい(超音波ですぐに崩れる) など・・・
難しい人は上記の人と逆だと思ってください。 - 口が大きく開かない人や、舌の不随意運動があると非常に治療しにくいこと。
- 繊維性の歯肉に人は歯茎が硬く、器具が入りにくく、除去が困難です。
- 超音波を当てて歯石を壊して除去しますが、なかなか崩れません。
歯周病も軽度なものから、重度なのものまでありますが、治療回数は同じです。
歯石の量がどんなに多くても治療回数は同じです。
このように、保険治療にのっとり治療を行えば、外科治療をほとんどの人に行わなければいけません。しかも、外科治療もたくさんの歯石が付いていては出来ませんので、場合によっては期間を空けて、初診という状態に戻し、歯石を再度除去してから外科治療に移ることもあります。
外科に移行しなくてもいい状況の場合、期間を空けて初診に戻して(SRP)を行っています。
もちろん、保険外の自費治療であれば、この規則にのっとる必要はありません。
適切なブラッシングをしていただき、可及的な歯石の除去、FOPをすることによって、歯周病の状況がコントロールされても終わりではありません。
歯周病の進行を止めるには、"炎症のコントロール"と"力のコントロール"をしなければいけません。今まで、炎症のコントロールについて説明してきましたが力のコントロールについても説明します。
力とは噛む力のことですが、噛む力によって歯周病が増悪してしまうことがあります。
- 寝ているときに強い力で食いしばったり、歯軋りをする。寝ているときは無意識下なので異常な力で食いしばってしまいます。
- 咬む力は普通でも、歯の本数少ない為、1本にかかる力が過大になってしまう。
- 咬む力は普通でも、歯が骨に埋まっている量が少ない為、耐えられる力が弱く過大になってしまう。
- 咬む力は普通でも、咬む力が1点に集中してしまい局所にかかる力が過大になってしまう。
以上のことで、歯が埋まっている骨(歯槽骨)を垂直的に壊していきます。
例えて言うなら、砂浜に杭が埋まっているとします。杭を抜く時、真っ直引き抜いても抜けません、杭を揺らしながら引き抜きますね。その時と同じような力が歯にかかると骨を溶かすのです。
これを防ぐ為の治療をします。マウスピース(スプリント)を使用したり、歯を固定したり、連結したり、インプラントによって根の本数を増やしたりと治療計画を立てて治療を行いますが、この治療計画が非常に難しく、専門的になります。状況によっては歯周矯正といい矯正治療も必要な場合があります。
トータル治療を出来なければ、本当にいい治療は出来ません。
ここで、患者さんが歯周病治療の病院を選ぶとき、いい先生か判断できるようにいくつかポイントをあげたいと思います。
- 歯周病検査を全部の歯を、1歯に付き6点計測し診査している。
- レントゲンと照らし合せ、現在の状況について説明がある。(炎症の有無やポケットの深さなど)
- 治療計画を立てて、治療を進めている。〔一番大事なことです〕
- ブロックに分けて、回数をかけしっかりと歯石の除去をしている。(中等度~重度の歯周病の治療を1~2回で終わらせることは不可能です。)
- 検査を重ね、状況が悪いところに関しては、外科処置も行う。
- メンテナンスを定期的に行っている。
- トータル治療が出来る。
- 専門医である。(必ずしも、専門医がいいとは限りませんが、一般的に見ていいと思います)
- いくつかの治療の中から、短所、長所を説明しながら一緒に治療方針を決めてくれる。
よく、患者さんに前の病院では、2~3回で終わったのに、何でこんなに回数がかかるんですか?と聞かれます。
しっかりと治療を行えば回数がかかるのです。歯周病で歯の周りの骨は、早ければ1年で1ミリほど溶けてしまいます。短い歯だと10ミリぐらいしか埋まってません簡単に5,6年で歯は抜け落ちてしまいます。しっかりと治療をしてくれる医院で治療をしてもらってください。
最後に、
歯周病を治すのに一番大事なことは、患者さん自身が毎日行うブラッシングです。
私たちがいくら綺麗に歯石を除去しても、ブラッシングをしっかりしていただかなければ、なんの意味も無いのです。
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